国家とは何か? DaiGo氏の炎上演出で生活保護から考える

国家とは何か? DaiGo氏の炎上演出で生活保護から考える

メンタリストでYouTuberのDaiGo氏の発言「命は平等って言うけど優劣ある」は盛大に炎上しました。

結論から言えばどうやらこの炎上は始めからシナリオがあったフィクションドラマ、“貧困問題”というテーマに注目を集めさせるための演出だったのではないかと私は思っています(この記事のラスト参照)。普通に生活保護に関するテーマを投げかけても、退屈な説教として誰にも聞いてもらえないのが落ちだからこういう手法を採ったのかと。

炎上商法だったのかどうか真相はともかく、この報道に触れて「生活保護って何のためにあるんだろう?」「どうして必要なんだろう?」と考えた人は多かったのではないでしょうか。

私も昨日、世間話としてこの件をメモ帳に書いたのですが、思いがけず“国家とは何か”というテーマに触れることになりました。当ブログ向きの話かなと思ったので、移動しておきます。

〔2021/8/13筆 常体記事〕

まだ中学生? 生活保護者差別のお子様発言

炎上しているメンタリストDaiGo氏発言。さすがにこれはアウトでしょう。

メンタリストDaiGo“差別”発言「命は平等っていうけど優劣はある」より

「ぼくは生活保護の人たちにお金を払うために税金を納めている訳ではないからね。生活保護の人たちに食わせる金があるんだったら猫を救って欲しいとぼくは思うんで。生活保護の人たち生きていてもぼく得しないけどさ、猫はさ、生きていたら僕、得なんで」

「自分にとって必要がない命はぼくにとっては軽いので。ホームレスの命はどうでもいい。みんな思わない? どちらかといえば、いない方が良くない? ホームレスって」

「邪魔だしさ、プラスにならないしさ、くさいしさ。ね。治安悪くなるしいない方が良いじゃん。猫はかわいいじゃんって思うけどね、ぼくはね」

何言ってるんだろうかこの人。

世間の人々が目を剥く異論を言って他人がショックを受けるのを眺め、せせら笑っているのが分かる。人類の価値観に反する攻めた発言、尖った発言をすれば、ただそれだけで真実を突いたことになると思い込んでいる。

反抗期か? こういう発言をして愉しむのは中学生くらいまででしょう。ゆたぼんか、と見間違えた。

ポリコレ魚群がまた面白いように釣れて「差別ダー」「優生思想ダー」「ナチスナチス!」騒いでいるが、こういう反応も想定済で愉しんでいるのだろう。もしかしたらポリコレ魚群からお金もらってる? と、疑うくらい幼稚な発言だ。

頼むからあのピラニア群に餌をやるなよ、おいしい餌を投げてもらって活き活きしてしまっているではないか。

生活保護、世の論点を突くなら

真面目な話。

DaiGo氏の本音に差別など無いのだろう。尖った発言をしたいだけで、ほとんどこの件については何も考えていないと思う。

おそらく、社会的な知識にものすごく疎い人なのだろうな。我々にはメンタリズムの知識が無いけど、それと同じ程度に社会のことを何も知ら無さそう。良い大学を出たわりに基礎的な学力が無い気がする。

そもそも論点が小学生レベルだ。

もし生活保護云々で世の論点を突くのなら、「外国人に生活保護を出すべきではない」とか「働けるのに働かないニートに生活保護を出すべきではない」という主張をすれば良かった。それなら語る余地がある。

【1.外国人に生活保護を出すべきか】

もし日本に長いこと住んでいて税金も納めている人が、不可抗力な理由で職を失い生活に困窮、飢えかけているのだとしたら助けるのは当然だ。

しかし始めから生活保護を狙って日本に入国し、職を失ったように装い生活保護申請をする外国人もいる。そして受け取った現金を母国へ横流ししている。このようなタカリの盗賊団が増えたら国が滅ぶ。少し考えれば分かることだ。だから、外国人に生活保護を出す場合はよほど慎重に調査しなければならない。これも国家として当たり前。

「外国人に生活保護を出すべきではない」の論点で、「外国人を差別するな! 短期在住の外国人にも無条件で生活保護を出せ!!」と反論する者たちがいたらその者たちは何らかの団体の、何らかの意図※を持って叫んでいることが明らか。この者たちへの対抗として「怪しい外国人に生活保護を出すな」と述べるなら、正論者と見られ味方も得られるだろう。あえて上のような論点で釣ることによって、侵略目的で日本に潜んでいる活動家たちのあぶり出しにもなり有益である。

※日本国民の税金を吸い上げて外国へ流す意図。単純に泥棒目的であるほかに、日本人から財を奪い、日本の国力を弱らせて侵略するという二段階の目的がある。

【2.働けるはずのニートへ生活保護を出すべきか】

「働けるのに働かないニートに生活保護を出すべきではない」のほうに反論する者たちも、ベーシックインカム(全国民に生活できる最低限の現金を支給すること)を実現させようとする意図を持つ活動家なので、やはりあぶり出しに有効と言える。これは社会主義・共産主義の国を実現しようとする勢力だ。

ただしこのベーシックインカムについては一考の余地があると私は思う、国家の財政を破綻させない範囲で。国民の誰も飢え死にさせないのは国家として当たり前のこと。さらにこの政策を実現することで共産社会主義者の活動理由を奪い、根絶やしにできるという利点もある。

だからネトウヨの人々には、敵側(左翼)の謀略に乗って差別するのをやめてもらいたい。貧困や同性愛の差別※があるから共産主義者の活動エネルギーになる。差別さえしなければ、奴等がテコとして使おうとしている“革命の起爆剤”とやらがなくなり左翼を根絶やしにできるというのに。

…実は差別に勤しんでいる“ネトウヨ”と呼ばれる集団も左翼団体と同じ活動家で、過激な差別を叫ぶのも革命のための工作なのだが。こういう似非保守に騙された一般人がネトウヨを自称し、差別を叫び続けるのが本当に迷惑。奴等の革命の火に油を注いでいるのは、差別好きで無知な自称ウヨさん方だ。

※豆知識。そもそも同性愛差別って、何故に左翼が論点にするのか自称ネトウヨの皆さん理解しているだろうか? キリスト教圏で同性愛が禁止されているため、アンチキリストで教会を打倒するためだけに同性愛を認めろと言っているのだ。日本を始め東アジアにそもそも同性愛を差別する思想はないので、左翼の主張は本来無効。それなのに存在しない同性愛差別を創作して、革命の火だねを作るのやめてくれ

何故、国が生活保護を出すべきなのか

私は「ホームレスの命に価値が無い」などと言う人の気持ちが全く分からないし、飢え死にしそうな人がいたら食べ物を分けるのは当たり前のことだと思っている。

もちろん、もし家族と他人が目の前で同時に飢えていたら家族を助けるのが優先になるだろう。ここで「見ず知らずの他人を優先して助け、家族は見殺しにする」と答える人がいたら偽善だし、家族を殺す人でなしと言える。

でもこれは、自分との関係性で大事に思う気持ちが強いか弱いかという話であって、「命そのものに優劣がある」という話とは全く別。命に上か下かの“優劣”などあるわけが無いだろう。

…等々、

そういう哲学的な議論や、道義の話をしてもDaiGoのような人にはきっと分からないだろうから、国家の成り立ちから何故「生活保護」というものが必要なのか述べてみる。

国家とは何か

国家というものはごく簡単にたとえれば、国民が自分たちのために造った家である。

国民とは、一つの区切られた領域に住む集団、あるいは一定の価値観と文化を共有する集団等のこと。現代では「国籍」というものを持って外国に移り住む場合もあるが。長くなるから正確な定義は省く。とにかく国民という共同体が暮らすための家だとイメージすれば、人類史のほとんどの国家に概ね当てはまるかと思う。

国家はその存在を国民から承認されることによって、初めて存在できる。つまり“民”がいなければ国家もない。さらに国家は国民からの税金で運営され存続していく。だから国家は、国民によって生まれ国民によって運営される、国民のための家ということになる。

国家運営の実務は元首や大臣、大統領などの政権に委ねられる。時々、政権を握った人が国家や民を自分の所有物だと思い込み暴虐をはたらくことがあるが、それは完全なる勘違い。

政権を与えられた者は全国民の委託を受け、運営という事務を代行しているだけ。だから国民を雇い主と思って、国民のために仕事をしていかなければならない。これは現代の民主主義国家だけに当てはまる説明ではなく、古代からずっと国家運営の本質である。国家が国民によって存続している以上、民を主人と考えるのは当然のコトワリだ。

この意味で、「古代中国の天意とは民のことだ」と私は述べた。国民を“神扱い”して自分が奴隷になるという、変な宗教を提唱したかったわけではない。おそらく、孟子の言いたかったことも同じと思う)

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国家を誕生させ存続させているのは国民。だとすれば、国民が国家への信頼を失い、存在を否定したときに国家は消えることになる。そうなれば観念上も現実にも“国家崩壊”の状態が起きるだろう。

国家は国民からの信頼を失えば存在が消える

ではここで、始めのテーマ「何故、国が生活保護を出すべきか?」に戻る。

もし自分が何らか不可抗力な事情で働けなくなったとき、国から救われることもなく放置されたとする。せっかくそれまで税金を払って来たのに、いざというときに見返りがなく死んでいくしかない。このとき、国家への信頼度はゼロになるはずだ。

国民が国家へ何のために税金を払っているのかと言うと、いざというときに国家の救済が得られると思うからだ。そのような緊急時以外にもインフラ整備など、国民の生活のための事業を国家が行うことも期待しているだろう。

この信頼・期待が裏切られたとしたら、「国家」そのものが必要なくなる。このとき、国民によって国家という認識は否定され、観念のうえで国家は消滅することになる。いずれ現実に国家崩壊するだろう。

国家への信頼を失うのは自分が救われなかった時だけに限らない。

「明日は我が身」という言葉がある。

もし同じ国家のなかで職を失ってホームレスとなった人々が救われない状況があるとしたら、たとえそれが自分ではないとしても国家への信頼を失うのが当然だろう。

何故なら、いつその状況が自分の身に起きてもおかしくないと考えるのがまともな思考力のある人間だから。

ホームレスは「他の誰か」ではなくて、同じ国家という船の上に乗った「明日の我が身」であることに気付くべきだ。

国家は保険事業と似ている

もう少し分かりやすい例を。

医療保険に入って、毎月せっせと保険料を払っていたとする。しかしある時、その保険会社が保険金を一切支払っていなかったことが大々的に報道された。

そのとき、自分がまだ保険金をもらえない状況を体験していないとしても、「この保険に入会していてもいざという時に保険金が下りないのか」と想像できるはず。解約するのが当たり前ではないだろうか?

いざというとき保険金を一切払わない保険が成り立つわけがない。

仮に当初、保険金を払うと騙して会員を集めたのだとしても、払わない事実が明るみに出れば解約があいついで倒産することになる。

国民を護らない国家は、この「保険金を払わない保険会社」と同じ。

本来、成立からして不可能だ。

現実には「国民を護ります」と嘘をついて成立した中華人民共和国のような国家もある。しかし中国で民たちは飢えてもそのまま餓死するしかなく、洪水で被災しても救援は来ないし、新幹線事故に遭えば生き埋めにされる。 国民を護ることが一切ない国。それどころか、積極的に国民を虐殺する国だ。このような似非国家が存続していくのは不可能と言える。今は現代兵器で人々を脅迫してかろうじて存続しているよう見せかけているが、実態としてあれは国家などではない。

国家は国民のために存在し、国民は自分たちのために国家を存続させていく。

インフラ整備などの行政サービスに加え、最後のセーフティネットである生活保護制度は国家の存在意義とも言えるだろう。だから国家には必要不可欠。

つまり税金は国家を構成する国民の一人である自分のために払っているのであって、見ず知らずの他人であるホームレスに払っているわけではない。

「自分の税金がそのままホームレスの物になるのは嫌。だから生活保護をなくそう」

などと考える人は思考が短絡的で狭過ぎる。あなたまだ小学生ですか?と訊ねたくなってしまう。

国家という保険なんか要らない、と主張する人はアナキスト

なお、「入院費など自分で稼ぐべきもの。民間保険も、健康保険制度も要らない」と言う人たちが時々いるのは確か。たぶんDaiGo氏はその種の人だろう。

同じように、「自分の身は自分で助ける。自分で武装するから軍隊も要らない。国家なんか要らない」と考える人たちがいて、彼らはアナキズム(無政府主義)を唱えるアナキストと呼ばれる。たいてい政府を倒すために暴動などを行っている。破壊活動だけが日々のお仕事。どこの国でも嫌われる存在だ。それこそこのような人たちの存在だけは、国家にとって有害で必要ないと言えるかもしれない。国家は要らないと自分で言うのだから、ぜひ出て行ってもらうべき。

「保険など要らない、国家など要らない、自分の身は自分で助けられる」と言っている人たちはおそらく現状が金持ちで自信があるのだろう。それはそれで凄いなと思う。でも、調子に乗るなよ、とも思う。

どれだけ自分のことを凄い人間だと思っているのか知らないが、大病しないという保証はあるのか。収入が絶たれ貯金が尽きる日が絶対に来ないと。そんなことは誰にも言い切れないはずだ。

明日の自分が今のように金持ちであるとは限らない。

“いつまでも、あると思うな親と金”

そんな簡単なことわざすら忘れてしまって、今の若さと収入が永遠に続くと思い込みホームレスを侮辱しているDaiGo氏らアナキスト的な人たちは、どう見ても痛過ぎる。

もう少し大人になるか、アナキストを名乗って国を出て行くべきだろう。

〔23:40追記〕フィクションドラマでしたか

DaiGo氏が謝罪したそう。昨日までの挑発的な発言から一転、急に「自分は無知でした」と。話の内容もまとも。こんなに早く自分の無知に気付けて、常識を身に付けられる人がいるか?

炎上のメンタリストDaiGo、生配信で謝罪「今までで一番良くないことをした」 動画広告の収益は全額寄付へ より引用

今後については「『活動自粛します』とかやってもいいんですけど、ちゃんと勉強しようかと。ホームレスや生活保護の方が、何を考えて、どう苦しんで、なぜ抜け出せないか、プロの人にちゃんと聞いてみようと」と発言。福岡・北九州で認定NPO法人「抱僕(ほうぼく)」を運営する奥田知志氏に連絡を取り、教えを請うたことを明かした。 「ただ謝って形だけ終了ってのは良くないなと思って、それをやります。実際現場に行ってみて、ホームレスの人や生活保護の人がどうなっているか、元ホームレスの人になぜそうなったのか、どうやって抜け出したのかを聞いてみたい」と熱っぽく宣言。

おっと! やはりNPOの方とお友達だったか。

案の定、始めからストーリーは決まっていたようだ。そしてこの後そのNPOを取材し、“改心した”テイのDaiGo氏が生活保護受給者の現状を訴え、リベラル活動のお手伝い。ふうん。下手なフィクション。

嘘が雑なのだよな。あちら側の方たち。

 

少し違うかもしれないが似た話で、こちらのツイートに激しく同意。

「迷惑系YouTuber」とか「炎上商法」とかも、バブル以降の「儲かれば何をやってもいい」とか「稼いだ奴が最終的には勝ち」みたいな風潮の果てにあるものだと思いますよ。 日本人の中にあった「お金より大事なものがある」という感覚が、バブル以降はぶっ壊れたんだと思います。

服部弘一郎 (HATTORI Kouichirou)@eigakawarabanさん

 

 

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