はじめての三国志「諸葛亮は曹操を目指していた?似ている二人を解説」
- 2018.09.22
- 古代中国史
- はじめての三国志, プロパガンダ, 三国志ジャンルの犯罪, 歴史捏造
疲れるから嫌だ、と言いつつ『はじ三』で気になるタイトルの記事を読んでしまった。
『そんな! 諸葛亮は曹操を目指していた? 似てる二人を解説』よかミカン
(以下画像は画像中のURLから引用)
※法的要件を守るために画像中URLを掲載しますが、実際のページにはアクセスしないでください。
……脱力。
客観的に見て、目指していないと推測されます。笑
むしろ反面教師で、最もなりたくないタイプでしょう。
皆さんこういう設定好きだよね?
「正直に見える人が、実は腹黒で簒奪(欲望のまま地位をうばいとる)の策略を練っていた」
などという。
以下、著作権法第32条に基づき上画像URLから引用しコメントしていく。
諸葛亮が勝ち組の曹操の配下にならずに流れ者の劉備を操縦して天下に覇を唱えさせることを選んだのは、自分が曹操のようになりたかったからかもしれませんよ!?
いや、俺ならもっとうまくやる、くらいに考えていたかもしれません!
皇帝・劉禅は諸葛亮の言いなり
フィクションの影響を受け過ぎだ。
(と言うより自己投影し過ぎ。全ての人間は自分と同じく欲深で、汚いのだと思い込んでいる)
劉禅は全く「言いなり」ではないし、劉備も「操縦」されたわけではない。
改めてフィクションの弊害を感じる。
そもそもどれだけ劉備を低く考えているのだろうか、このフィクションという妄想に侵された人々は?
同時代の人間だったら絶対にそんなことは思わないはずだというのに。同時代のツイッターで言えば大炎上する発言。
あと、激しく首を傾げたのは「曹操が法治主義」という評価。
曹操が法治主義? ――それは「汚職を許さない」と言って粛清しまくっている隣国の国家主席S氏を「法治主義者、公正で素晴らしいトップ」と評価するのと全く同じ。
この人たちは「法治主義」の用語を欠片も理解していない点、恐怖を感じる。
まず、「法治主義」とは政府・権力に対して使われる言葉という大前提を理解して欲しい。
自分の感情にまかせて民衆虐殺をしたり、意見されたというだけで腹を立て家臣を処刑したりする人間(以上、曹操の史実)は、「法治主義者」とは呼ばない。
法で管理されるのは、誰よりも第一に政府・権力。その法に管理された権力によって庶民が統治され、初めて「法治」が通る。
権力側が恣意である限り「法治」とは呼ばない。それは100%人治なのだ。
参考として、現代C国政府を見よ。公表された法文だけを見れば「法治」のように思えるが、100%人治でしかないだろう。この点、曹操と全く同じ。/あ、いや、「同じ」とは彼らにとって褒め言葉か
(だから現代C国政府は、曹操を絶大に賛美していて彼の評価を上げるために必死で宣伝している。「曹操や始皇帝を目指している」のは諸葛亮ではなくて、現代C国)
人治と法治、見分けることがそんなに難しいのか?
だとすればこんな国でこれから憲法改正が行われることが恐怖でしかないね。
皇帝をないがしろにして権勢をふるったのは曹操も諸葛亮も同じなのに、どうして曹操は悪者扱いをされ、諸葛亮は忠臣と呼ばれてきたのでしょうか。
それは、曹操が王朝交代に失敗し、諸葛亮は失敗したためです。
……呆れるな。
「諸葛亮は失敗した」とは簒奪を狙っていたと断定した発言ではないか。
現代で生きている人間だったら、名誉毀損で訴えることができる次元の不当な決めつけ。
何故、評価が違うのか?
そんなことは分からないが、当時の人たちが曹操に恐怖と嫌悪を抱いていたことだけは確かだと思う。
私が一般庶民の立場だったら少なくとも、自分たちを虐殺して・恣意的に家臣を処刑し続けた100%人治の権力者を評価することは絶対ないと言い切れるよ。
(「悪者扱い」なのかどうかは知らない。ただ自分の身を守るためにそういう権力者は表れて欲しくないと願うのは確か)
諸葛亮は、現代ならごく普通の政治をした人間というだけであって、決して高い評価を得るような人物ではない。
しかし人々はおそらく恐怖の独裁者と比較して、真っ当であるというだけでも評価を高めたくなったのではないか。二度とあんな恐怖を感じることがないようにと願って。
歴史を『大奥』的な妄想や、陰謀論だけで読み解くのはどうかやめて欲しい。
もっと当時に生きた人々(一般庶民)の「肌感覚」に寄り添った解釈をすべきだ。
フィクションの妄想では「温故知新」など絶対に不可能。当時の人々の「肌感覚」を、今に生きる自分たちに置き換えて感じなければ、歴史を学ぶことに何の意味もない。
今、ここにある危機を察知するために歴史を学んでくれ。
それができないなら歴史本を読むのをやめて欲しい、害しかないから。
間もなく憲法改正もあるというのに、こんなレベルではいけない。
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