三国志人物の名前、姓・名・字について。「諸葛亮孔明」は間違い

三国志人物の名前、姓・名・字について。「諸葛亮孔明」は間違い

〔こちらは初心者の方向け解説記事です〕

中国古典の登場人物の名前って、ただでさえ漢字で難しいけど、上の名・下の名が分かりづらいですよね。どこまでが氏または姓で、どれが名前なのか分かりづらいのです。

しかし氏名から間違えてしまうと、神経質なマニアに罵倒されたり、大陸・台湾など中華圏の人々と話が噛み合わなくなるので直したほうがお得だと思います。

この記事で『三国志』人物の名について分かりやすく解説しますので、覚えていただけると嬉しいです。

 

その1 劉備、関羽、張飛など一般的な姓名

中国は日本と違って、一文字だけの氏姓(上の名)が一般的です。

たとえば「劉備(りゅうび)」だったら、「劉」だけが上の名になります。

詳しく解説していきます。

劉備の場合

劉備は、「劉」が上の名、「備」が下の名

よく耳にする「玄徳(げんとく)」は字(あざな)と言って、本名とは別に付ける名です。字については後述します。

 

「劉」は現代中国人に最も多い姓となっています。このため、現代中国人でもよく見かけますし、現実に会うことも多いと思います。上の名であることを把握しておいたほうが失礼ないでしょう。

ちなみに現代は字が廃止されて無いので、姓+名(たいてい二文字)だけの構成となります。

例:ノーベル平和賞を受賞した劉暁波さん ※劉が姓、暁波は名

Laihiu – このファイルは以下の画像から切り出されたものです: 香港燭光晚會要求中國釋放民運人士劉曉波  CC2.0,

 

関羽の場合

劉備と同じく、一文字姓の人です。

「関(かん)」が上の名、「羽(う)」が下の名
「雲長(うんちょう)は字です。

 

張飛の場合

同じく、一文字姓です。
「張(ちょう)」が上の名、「飛(ひ)」が下の名。

字ですが、張飛だけちょっと注意が必要です。よく聞く「翼徳(よくとく)」はフィクションの字なのです! 現実の字は「益徳(えきとく)」と言いますので、ぜひ覚えて帰ってください。

何故、フィクション作家さんは「翼徳」にしたんでしょうね? そのほうがカッコイイと思った? 益徳はカッコ悪いと? …あまり印象変わらない気がしますがね。私にはよく分かりません(笑)

 

他の人物名について

ほとんどの人物がこのパターンなので省略させていただきます。

日本の小説で「劉備玄徳」などと四文字で表現される場合、一(姓)・一(名)・二(字)で分けて考えれば正しくなります。

二(姓)・二(名)で分けるのは下のイレギュラーな人物だけです。

※あくまでも三国時代限定です。他の時代の場合、二文字の名・一文字の字などのパターンもあります。ただし姓はたいてい一文字です(異民族でも漢人風の姓を好んで改姓したため。清代を除く)

イレギュラーについては次の項目で書きます。

その2 諸葛亮など、イレギュラーな姓名

中国において二文字姓はイレギュラーな少数派です。現代でも同じなので、覚えておいたほうが良いでしょう。

諸葛亮の場合

イレギュラーなために日本人に理解しづらい人物名代表が、なんといっても「諸葛亮孔明」でしょう。

ネットの各所でこのフルネームを呼んだ人を馬鹿にして嘲笑したり、逆に「日本ではこの呼び方が正しいんだ!」と反論されたりと、喧々諤々な?バトルが繰り広げられています。
でも今は国際化の時代ですから、このさい本国の考え方で統一しましょう。

まず先に正解から言えば、「諸葛(しょかつ)」が姓、「亮(りょう)」が名。「孔明(こうめい)」は字となります。

呼び方としては、本国では「諸葛亮」と姓+名で呼ぶのが一般的

ただし日本人に馴染んでいる呼び方「孔明」と呼んでも間違いではありません。
姓+字の「諸葛孔明」でも構いませんが、中華圏の人には首を傾げられることがあります。「諸葛亮孔明」ではなおさら、笑われてしまうかもしれません。
まあ伝わるとは思いますが、相手国の文化を理解していない人という印象を与えてしまうかもしれないので「諸葛亮」と呼んでおいたほうが良いでしょう。

ちなみに「諸葛」は現代中国でも非常に人数が少ない、めずらしい二文字姓です。
今でこそ有名となりましたが、三国時代直前の後漢末期では地方の豪族姓に過ぎず、全国的に知られていませんでした。このため、諸葛亮は名乗るたびに「え?」と聞き返されることが多かったでしょう。

(現代でも日本人が中華圏の人へ姓名を名乗ったとき、二文字姓ということが理解されず戸惑われることが多いようです)

他の有名な二文字姓

二文字姓では後漢末期、公孫瓚の「公孫(こうそん)」、夏侯惇の「夏侯(かこう)」が有名でした。司馬懿や司馬遷の「司馬(しば)」も有名ですね。

 

字の使い方

最後に「字(あざな)」について解説しておきます。

古代中国には「本名を呼ぶことは失礼だから字を呼ぶ」という習慣がありました。ただし字を呼び合う関係は友人や同僚に限られ、目上の人に対しては字を呼ぶのも失礼なので地位で呼びます。

現代日本で言えば、字が「姓」、本名が「下の名」のような感じでしょうか。

会社の同僚を呼ぶときは、姓を呼び捨てにすると思います。でも下の名は、家族などよほど親しい人でなければ呼びませんよね。姓名はそんな感覚です。しかし上司に対しては姓を呼び捨てるのも失礼だから「課長」「部長」など役職名で呼ぶはずです。

こうイメージしてもらえると、古代中国の姓名に関する習慣が分かりやすくなるのではないでしょうか。

字の使い方、例

【諸葛亮の場合】

目上の劉備から → かなり年下なので「亮」も有り得るが、「孔明」と字を呼び捨てするのが自然
部下からの呼ばれ方 → 「諸葛丞相」 ※丞相は地位名

【関羽の場合】

目上の劉備から → 「雲長」と字を呼び捨て
目下(年下)の諸葛亮から → 「関将軍」または、親しみを篭めた愛称として「髭公」

【趙雲の場合】

目上の劉備や関羽らから → 「子龍」と字を呼び捨て
年下だが地位は上の諸葛亮から → 公の場では「趙将軍」、プライベートでは微妙だが趙雲が許せば「子龍」

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