諸葛亮の性格をテキスト分析プログラムで診断した結果【資料】

諸葛亮の性格をテキスト分析プログラムで診断した結果【資料】

かつて、「AIがテキスト文から性格診断する」というIBM社が提供するサービスがありました。

こちらが当時のサイトトップ:

アーカイブ

https://web.archive.org/web/20200110184635/https://personality-insights-demo.ng.bluemix.net/

そのサイトにはサンプルとしてオバマ元大統領の性格診断結果などが誇らしげに※掲げられていたのですが、何故か2020年の大統領選の最中にひっそりとサービス終了しました。…もしかしたらIBMなどが支持するバイデン氏の診断結果に何か不都合があったのかもしれません。たとえば思考力に難があったとか。(あくまでも想像です)

※現代において世界のトップリーダーには思考力や創造性が高いという共通した傾向があります。その代表として、思考力で高い数値を出したオバマ氏のスピーチ分析が掲げられていたわけですが、バイデン氏には反対の結果が出た可能性がありますね。

サービス運営当時、私はこの分析を気に入って様々な人の文章を入力して試していました。その際、諸葛亮の文章を入力して分析したデータを保存していたようです。サービス終了の今や貴重な資料となってしまいましたのでここに引用しておきます。

 

諸葛亮の文、テキストAI診断結果

前提として、この診断は開発途上のまま終了したものであり結果は完全ではありません。

この診断結果と現実生活で観察される性格とが異なる人もいます(筆者の例参照)。したがって、このテキスト診断はあくまでも「文に表現される性格」なのだと言えます。

なお、英語・スペイン語・アラビア語・日本語・韓国語のみを対象としたサービスだったので現代日本語訳を入力しましたが、訳者によって本質の結果に大差はありませんでした。文章表現に関わる評価にほんの少し違いはあったようですが。たとえば筆者訳ですと他の方の文に比べ装飾が少ないのかシンプル(簡素)、つまり「愛想が無い」らしい。笑

全体の傾向

諸葛亮の文章には全て次のような共通した結果が出ました。

・Big5では開放性(特に思考力、知的好奇心、創造性)が最も高い。

・感情抑制傾向があり興奮しない。野心(利己意識)が低い。

・社会性、外向性は高くないが思っていたよりはある。

・率直で統率力あり、自己信頼(自信)が強い、哲学的(アイディア)なタイプ。

・わが道を行く(独自性が高い)。

ちなみに「開放性(Openness)」とは、知性や創造性など外界の情報を取り入れ、はたらきかける能力のことです。

「独自性あり」などはなんとなく陳寿の人物評にも近いような気がします。

★そもそも孔明ってどんなふうに記録されているの?という基本を知りたい方はこちらへ

孔明ってどんな人だったの?に回答。諸葛亮の実像・性格分析【年表あり】

では、次項から実際の諸葛亮の文を診断した結果を貼り付けていきます。

『出師表』

診断結果文:

表現に富むタイプであり、また社会的なタイプです.

自己主張が強いタイプです: 遠慮なく発言し、その場をリードする傾向があります。また、集団を統率できます. 自分に自信があるタイプです: 始めたことを成し遂げる能力があると思っています. また、哲学的なタイプです: 新しいアイディアに興味をそそられ、進んで受け入れ、探求することを好みます.

帰属につながる体験を好みます.

成功することと伝統の両方にあまりこだわりません. 自分の才能を誇示することにあまり拘らず意思決定します. また人が通った道よりもわが道を行くことを大切にします.

 

下記のような傾向がありそうです:

・自動車を買うときは維持費用を重視する

・楽器演奏の経験がある

・社会貢献のためにボランティア活動をする

下記の傾向は低そうです:

・商品を買うときは商品の実用性を重視する

・娯楽雑誌を読む

・アウトドア活動を好む

詳細分析チャート:

ここに表示される値は全て百分位数です。100%の人は、百人中で被験者よりもその性質が低い人が99人いる(つまりその人はその性質において、百人中1位に強い特徴を持つ)ということです。

…簡単に言えば数値が高いほど平均よりもその特徴が強いということになります。

解説。

率直に発言し集団をリードする、自己信頼(自信)がある。思考力・創造性(開放性)が高く外向性も高いという、現代的な意味での「リーダータイプ」です。

「トップの器ではない」と言われ続けた孔明のイメージを覆す意外な結果ですが、古代では一般的だった権威主義なリーダーとは異なることは確かです。

『出師表』はそこに至るまでの経緯を知る人間が読んだときに感じる印象と異なり、忠実性などが低く出たことは面白いです。これは戦場に向かう檄文の意味も含ませた文章ですので当然かもしれません。Big5に関しては、本人が直接テストを受けたらもう少し大人しめな結果が出ると思います。後述。

『戒子書』

診断結果文:

情に厚いタイプです.

哲学的なタイプです: 新しいアイディアに興味をそそられ、進んで受け入れ、探求することを好みます. 自己主張が強いタイプです: 遠慮なく発言し、その場をリードする傾向があります。また、集団を統率できます. また、自分に自信があるタイプです: 始めたことを成し遂げる能力があると思っています.

発見につながる体験を好みます.

伝統にはあまりこだわりません: 人が通った道よりもわが道を行くことを大切にします. 他人への支援があなたの行動に大きな影響を与えています: 自分のまわりの人々を世話することは重要であると考えます.

詳細分析チャート:

解説。

概ね『出師表』と似たバランスのチャートです。同一人物が書いた文だと、細部は違ってもだいたいこのチャートのバランスが似通っています。

これも思考力100%で開放性が高い。ただプライベートな文なので、『出師表』よりは落ち着いて書いていたのか積極性(外向性)が控えめですね。感情も抑えめです。

息子への文のわりに「LOVE」が低いのが気になりますが、同サイトの日本語訳を見るとこれは「社会性」の意味だそうです。(この「社会性」はBig5とは異なるらしい…詳細不明)

私欲や興奮を求める性質はとても低いです。つまり野心ゼロに等しいということがこのAI分析でも明らかとなりました。現代の歴史学者の話が捏造だということが証明されましたね。

【参考】孔明を「野心のみのマキャベリスト」と歴史捏造している学者たち:

「孔明マキャベリスト」? マキャベリ推し世論の欺瞞と真実

『正議』

これは詳細チャートは記録していませんで、簡易の結果文のみとなります。だいたい上と共通の結果です。言うまでもなく『正議』は本人が書いた文ということで間違いないでしょう。

診断結果文:

哲学的なタイプです: 新しいアイディアに興味をそそられ、進んで受け入れ、探求することを好みます. 自己主張が強いタイプです: 遠慮なく発言し、その場をリードする傾向があります。また、集団を統率できます. また、自分に自信があるタイプです: 始めたことを成し遂げる能力があると思っています.

おまけ『後出師表』

チャートは保存していませんでしたが、『後出師表』も入力して分析していました。その結果、チャートバランスは異なっており結果文も下引用の通り少し違いましたので(共通項はあるのですが)、本人の執筆ではないとの推測が成り立ちます。

私が思うに、『後出師表』は諸葛亮の身近な者が書いた文であり、本人の口癖を使いながらも自分の考えを主張したものでしょう。誰が書いたのかは、「興奮しやすいタイプ」という点がヒントになりそう。熱くて真っ直ぐな性格の人物ですね。

診断結果文:

興奮しやすいタイプです.

自己主張が強いタイプです: 遠慮なく発言し、その場をリードする傾向があります。また、集団を統率できます. 哲学的なタイプです: 新しいアイディアに興味をそそられ、進んで受け入れ、探求することを好みます. また、圧力を受けても冷静なタイプです: 冷静で、予期しない出来事にも効果的に対処します.

発見につながる体験を好みます.

成功することと生活を楽しむことの両方にあまりこだわりません. 自分の才能を誇示することにあまり拘らず意思決定します. また単なる個人の楽しみよりも大きな目標を伴う行動を優先します.

 

まとめ

現代まで伝わる諸葛亮の文(『後出師表』除く)には少し寒気がするほど共通項がありました。
これは諸葛亮がぶれずに安定した文を書く人間であった、と言うよりも、周囲の人々が抜粋して残した文に共通項があったということになるのでしょう。
人々が、「いかにもあの人らしい」と思う文に共通した要素があったということです。
その要素を具体的に言うと、始めにまとめたように
「哲学性」「リーダーシップ」「自信」「わが道を行く」
等であったようです。

おそらくこれらの結果は諸葛亮の一般的イメージ、大人しく気弱で「リーダーの器ではない」と評価されている印象とは異なるはずですし、『出師表』の一般評価とも異なるはずです。
人々はやはりメランコリックさではなく、リーダーシップを無意識に求めたのでしょうか。

なお、このテストで言うところの「リーダーシップ」とは、上にも書いた通り現代的な意味であること重ねてご注意を。強さと威厳で民をコントールする古代的リーダーシップとはかなりニュアンスが異なります。

 

補足。本人が受けるテストとは違う結果が出た実例

「AIテキスト診断と本人が受ける診断結果は同じなのかどうか」ということは、生きている人間でなければ検証できなかったため便宜上筆者をサンプルとしてお話しします。

【サンプル】

2019年~2020年に持っていた筆者Twitterの書き込み分析:

ブログ文の場合(最も頻出したチャートバランスと評価):

表現に富むタイプです.

哲学的なタイプです: 新しいアイディアに興味をそ そられ、進んで受け⼊れ、探求することを好みま す. ⾃⼰主張が強いタイプです: 遠慮なく発⾔し その場をリードする傾向があります。また、集団を 統率できます. また、⾃分に⾃信があるタイプです: 始めたことを成し遂げる能⼒があると思っています.

組織への帰属を意識して意思決定するタイプです.

伝統と成功することの両⽅にあまりこだわりませ ん. ⼈が通った道よりもわが道を⾏くことを⼤切にします. また⾃分の才能を誇⽰することにあまり拘 らず意思決定します.

 

開放性・思考力が高く感情抑制傾向があり、興奮性が低い。諸葛亮のチャートと似たバランスを持つため参考になるのでは?と思います。

諸葛亮と同じく、この図だけ見れば外向性もありリーダーシップがありそうに思えますが、そんな文を書く私が実際にBig5のテストを受けてみた結果はこちら。

Big5:

https://commutest.com/bigfive/ の筆者テスト結果より

誠実で共感性は高いようですが、外向性が平均より低く現実でリーダーを務めるのは辛い性格のようです(涙)。確かにこれが普段の筆者を表していると思います。事実、幼い頃から「控えめ過ぎる」「もっと積極的になりなさい」と通信簿に書かれ続けてきた人間です。

現実で大人しいイメージだった諸葛亮も、おそらく直接に性格診断テストを受ければ同じような結果を出したのでは。

文だけで積極的に自己表現できる我々、なんだか情けないですけどね。潜在スペックはあるのだと思いたい。

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