中国ってなんであんなに残虐なの? 皆の疑問【ご質問回答2】
こちらは二十代くらい、若い方々からいただいたご質問です。おそらく現代ニュースを眺めて、多くの若い方が同じ疑問を抱いているのではと思います。
匿名にてご質問を引用、回答させていただきます。
Contents
質問:中国はいつから今のような独裁的な感じになったのか?
回答:1949年、中華人民共和国が建国したときからです。※
“独裁的”な王朝は古代から何度か興りましたが、民や豪族の反乱に遭って比較的に短命で終わっています。またその当時の統治方法は今と似て非なるものですので、「今のような独裁」が行われるようになったのは、1949年からだと言えます。
※正確には、中共は建国後に民を騙しながら少しずつ独裁を強めて地獄を実現していったわけですが。独裁の源は建国その瞬間であったと定義できます。(いずれ現代中国の歴史も書きますね)
「今のような独裁」は特殊な統治の技法によるもの。中華の歴史において考えられなかった技法です。
何故ならこれはマキャベリ、(ニーチェ)、マルクスなど、近代欧州の哲学者が開発した統治技法だからです。
ちなみにソビエト連邦(ソ連。今のロシア)や北朝鮮、カンボジア、旧東欧諸国など共産・社会主義国はほとんど同じ統治技法で恐怖政治を敷いていますので、ぜひこれらの国々の歴史を調べてみてください。今の中国をそっくりコピーしたかのようであることに驚かれるでしょう。若い方はソ連が存在した時代をご存知ないために、今目立っている中国の残虐統治を「中華独特」と勘違いしてしまわれるようです。
上の国々の共通項は「共産・社会主義国」であって、中華民族のDNAや中華思想は関係ありません。ソ連や東欧は漢民族の国だったか? 中国人は多く住んでいたのか? 否です。
なお、中華人民共和国の統治方法は当初ソ連のレーニン→スターリンのやり方を模倣していました。これは「人民を一定期間ごとに虐殺することによって恐怖で統治をする」というもの。今もその残虐性と、「嘘をつけば真実になる」と信じる歴史捏造主義を忠実に受け継いでいます。
質問:国の名前が変わるたびに思想が変わっていくイメージだけれど、変わらない部分はあるのか
回答:民間の思想は基本的に、古代からほとんど変わっていないようです。
中華では政府の思想と民間人の思想は異なることがあるため分けて考えるべきと思います。
政府が変わって採用する思想が変わっても、中華の民は伝統のほうを強く持ち続ける傾向があります。抑圧によって弱められることはありましたが、そのたび誰かが地下に隠して未来へ伝えてきました。
たとえば現代。
私も長らく「現代中国人は共産思想に洗脳教育されて変わってしまった。伝統は滅んだ」と思っていたのですが、香港の雨傘革命後に、大陸人の話を聴いて驚きました。彼らが今も古代と同じ文化思想のもと生きていたからです。
あれだけの文化破壊、弾圧に遭いながら伝統思想を守り続けている大陸人には感服しました。
もちろん共産思想に洗脳されきった人民も多いのが現状。100%が善良な民ではありません。
ただ、今も地下で古代思想が変わらずに生きていることは確かです。
具体的に何の思想が変わらないかと言うと――やはり儒教のうち民間寄りな思想「道徳(五徳)」でしょう。これは教科書によらず、親から子へ、代々の伝統として口伝されているようです。(日本の道徳に近い風習)
それと猥雑で楽しい多神教の道教や、仏教も変わらず信仰されているようです。
これらは中共の弾圧に何度も遭ってきましたが、おそらく完全に消えることはないでしょう。強い。
質問:現代の中国人が学ぶ古代中華思想は何?
回答:政府は歪めた形ではありますが、儒教と法家思想を人民に学ばせているようです。
参考
もともと改革開放が叫ばれた時代(鄧小平の政権時代、1978年~)から文化破壊が弱められ、少しずつ歴史を学ぶことも許されてきました。
※共産思想の国では本来、歴史学を学ぶことは許されていません
その後さらに、胡錦涛(こ・きんとう。在位2002年~2012年)が主席だったころ儒教や歴史学がオープンに学べるようになったようです。これは胡錦涛自身が読書家で古代思想好きだったからとも言われていますが、国民支配を強めるためと、民族主義を外国へ宣伝するための戦略でしょう。
いずれにしても儒教が学べる時代が来るとは、伝統を禁じる共産思想の国としては信じられない改革でした。
このため胡錦涛時代に教育を受けた若者たちは、我々が驚くほど古代史の知識を持ち、儒教についても語ることができるほどの知識があるようです。
ただしもちろん共産主義国ですから手放しに何でも許されたわけではありません。革命を教える『孟子』は学ばせませんし、道教も同じく革命をもたらすので禁止です。
なお、儒教とともに中共が奨励しているのは法家の思想です。特に習近平政権となってから法家教育が強化されているようです。
これは独裁政権を敷いた始皇帝や曹操が採用した思想で、恐怖支配を推進するもの。中共が信奉するマルクス主義、マキャベリズムとも似通った部分があるので、恐怖支配を正当化するために民へ教えているようです。
また、始皇帝・曹操の称賛は外国人に対するプロパガンダとしても使われています。
日本人にも「始皇帝・曹操はスバらしい!!」といった嘘フィクションを与えて、法家が最高の正義だと洗脳しようとしていますので注意してください。
以下の記事をご参考に。
質問:今の中国の体制になる基となった思想は何なのか
回答:冒頭の回答に同じですが、マルクス主義です。
統治方法としてはレーニン、スターリンなどソ連のやり方を踏襲しています。そこに毛沢東ら指導者たちのオリジナル性(嗤)が加わっています。
マルクス主義以外に中共が本心から信奉している思想などありません。
中国共産党が見た目に「儒教」や「法家思想」を取り入れ、古代思想に改宗したように見えても、本心から共産主義を棄てたわけではないので騙されませんように。
彼らは世界を覆すためなら、いくらでも言動を繕うことができます。
まず、「共産社会主義者は平気で嘘がつける」という本質を念頭に置くと分かりやすいでしょう。どれほど可愛い羊の皮を被っていても、彼らは絶対的に狼(共産主義者)でしかありません。
今、SNS等で日本や香港・台湾の共産主義者が、
「中国はもう共産主義国ではなくなった。中国が残虐なことをするのは共産主義と関係ない、中国民族のDNAのせい。マルクス主義者が悪いことをした歴史は一切ない。キューバが見本※…」
などと説いて回っています。
これは完全なる嘘。共産主義者たちが、中共の悪行によって自分たちへ批判が降りかかってこないよう、中国民族へ罪をなすりつけています。非難をかいくぐって生き残り、共産主義で世界を逆転支配するための必死の謀略です。
どうか騙されないようにしてください。
今はYouTubeもSNSも、初心者向けに書かれた出版物さえ、何らかの団体の御用学者によるプロパガンダで溢れています。注意したほうが良いと思います。
※キューバが見本: 世界で希少となった共産主義国のうち、まだ実態がわかっていないのがキューバです。このため共産主義者たちは、自分たちを正当化するためによくキューバを引き合いに出して「キューバがあるから共産主義が悪いわけがない」と言います。これも嘘です。(キューバは仕方なく社会主義を選んだ国で、指導者カストロは本心からのマルクス主義者ではありませんでした。そのためここまで不幸な国であっても他の共産国に比べればマシなほうには見えます。そんなキューバだけが、共産主義者たちの唯一の「心の拠り所」であるとは憐れなことです)
著者より:本日はこのくらいで
簡単に書くつもりが結局は長くなってしまいました…。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
ややこしい話もありましたが、なんとなくでもご理解いただけましたでしょうか?
もし私の話が信じ難いようでしたら、コロナに気を付けながら図書館へ行き、二十年以上前に書かれた近代史の解説書をひもといてみてください。御用学者が比較的に少なかった頃の本を、です。
★ネットでも時々良記事はあります。
こちらは参考になるかも(他の方が書いた記事へのリンク):
このほかに武道や墓に関してなどご質問をいただいていますが、また長くなりそうなので別記事と致します。
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