新しい『三国志』ドラマでは司馬懿が正義のヒーローに!

中華ジャンルに戻ります。三国志ドラマ配信のお知らせとプロパガンダについて注意喚起です。

巣ごもりにお奨め、三国志ドラマ配信開始

GYAOで再び『三国志Three Kingdoms』の配信が始まったようです。巣籠もり中の暇つぶしにいかがでしょうか。

『三国志Three Kingdoms』配信リスト

(GYAOは無料配信ならログインしなくても視聴できるため、お試しで観るのにお奨めなのです)

このドラマは中国共産党のプロパガンダのために制作されたもの。

中共が崇拝している曹操を「正義の人」として宣伝するためのドラマです。曹操を美化する設定に関しては嘘八百ですから鵜呑みにしないようお気を付けて。初心者向きではありません。

ただしドラマ監督さんや脚本家さんには誠意があり、言論統制の制約のなかで精一杯に真実を描こうと努力した跡が見えます。

蜀に関しては「蜀人物を貶めるように描け」という命令が降っていることは明らかあくまでも主人公は曹操と司馬仲達なので、劉備・関羽・張飛のおなじみエピソードはほとんど描かれず、中華庶民が喜ぶ“桃園”シーンすら場面のみ挿入という意味不明さです。

国民だけに通じる暗号メッセージをつなぎ合わせたような感じで、ストーリーが成立していない欠陥あるドラマと言えます。中華の庶民はこれでも理解するでしょうが外国人は「???」となります。これで外国に売ろうとするとはちょっと図々しい。国外配信をなめていますね。

しかし、「貶める」目的のために史上初めて普通の人として描かれた孔明が、意外にも史実の人物像に肉薄したという“怪我の功名”はありました。

今までの創作との比較で眺めることができる中級者以上にはお奨めです。私も一部しか観ていないので、今回余裕があったら観ていこうと思います。(精神的に耐えられる範囲だけ)

【参考】日本人ファンには不評だった陸毅孔明は、私が思うに最も史実に近いと思います。特に泣きの演技が。笑

『三国志TK』陸毅さんは諸葛亮のイメージに合わない…ですか??(追記あり)

新しい『三国志』ドラマ

あともう一つ、中共プロパガンダと思われる『三国志』ドラマで気になったものがありました。

こちら。

『三国志 Secret of Three Kingdoms』

ストーリー:

後漢末期、群雄が割拠する中、曹操(そうそう)が皇帝・劉協(りゅうきょう)を傀儡にして勢力を伸ばしていた。
遠く都を離れた司馬(しば)家に預けられ育った劉平(りゅうへい)は、突然迎えに来た父に連れられ都に向かう。
その道中、思わぬ秘密を知らされ驚く劉平。劉平は皇帝の双子の弟だったのだ。しかし、劉平が都に着いた時には、病弱な皇帝はすでに亡くなっていた。
亡き兄の遺志を継いで皇帝に成り代わった劉平は、皇后の伏寿と幼なじみの司馬懿(しばい)と共に漢王朝を再興するために曹操との戦いに挑む!

「司馬懿が漢王朝を再興」などと言っている時点で、なんのこっちゃ。

盛大に矛盾していますね!

私は司馬懿に何の恨みもありませんし、彼は軍師としては立派だったと思っています。曹ファミリー独裁の恐怖政治のもと、命を失う危険のなかで任務に励んだことは同情に価します。しかし彼を「漢王朝再興の英雄」と呼ぶ史実逆転は、あり得ないことだと思います。

何故なら司馬懿は「漢王朝再興」に奮闘した人物どころか、漢王朝(と魏)から帝位を簒奪した者の祖父だからです。

中華庶民はこんな善悪反転の嘘ドラマに納得しているのですか?

もちろんフィクションとして「皇帝は双子だった!」などという変わった架空設定を描くのは良いでしょう。ただしまともなフィクションなら、「このような設定はフィクションで現実にはあり得ないことです」と先に断り書きを提示しますよね。そうせずに、視聴者が史実と誤解してしまうよう故意に歪めたフィクションを描くのは悪質なプロパガンダ目的。

【例】日本で行われている最大級の歴史捏造プロパガンダ、『キングダム』

『キングダム』は中共プロパガンダ! 始皇帝いい人キャンペーンの裏事情

このドラマからは特に政治プロパガンダの強烈な臭いしか漂って来ないところが、すごく気持ち悪いです。

このドラマが中国共産党のプロパガンダドラマである証:

この名に噴きました。中共のプロパガンダあるところ、必ず渡邉義浩の名あり!という感じですね。お仕事ご苦労さま。

「渡邉義浩(早稲田大学教授)」ではなくて、そろそろ「渡邉義浩(孔子学院を統べる共産党学院長)」と紹介したら?

この人は孔子学院の長を務めたことからも分かる通り、中国共産党の意向に沿った宣伝活動をしている学者です。彼の書籍に史書からの引用は一切なく、「参考文献:自著のみ」というめずらしい歴史学者ですからご注意を。

実際は自著すら参考としておらず、「参考文献:文化大革命時代以降の共産党論文(歴史改造文書)」ということになるでしょう。そのような共産主義的歴史改造をご本人が心から信じているのか、他に何らか事情があるのかは知りませんが、いずれにしても中国共産党のプロパガンダを日本人の脳に刷り込むべく熱烈に宣伝活動中です。

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さて、そんな渡邉義浩を始めとする中共御用学者たちは、最近
「三国時代を計画した立役者は司馬懿だッ! 司馬懿こそが中華歴史最高のヒーローなのだ!!」
という話を宣伝することにご執心です。

〔参考〕歴史捏造に励んでいる『はじめての三国志』という活動家団体もこのように司馬懿を最大ヒーローとして激賞しています:

※広告費を稼がせてはまずいのでアクセスしないでください

どうして彼らがそんな作り話を始めたのかと訝しく思っていたのですが、中国共産党が「司馬懿を三国時代の英雄化する」という方針を打ち出したので、ボスに従って日本の御用学者・左翼活動家たちも方針転換したのだと理解しました。

 

中国共産党の曹操崇拝プロパガンダは失敗したのか?

これまで中国共産党は、曹操を中華史上最大のヒーローにすべく熱烈なプロパガンダを行ってきました。

なぜ中共が曹操をヒーローに仕立てたいのかここでも簡単にご説明します。

〔当記事しか閲覧しない方向けの解説です。他記事と重複する内容ですので、必要ない方は飛ばして次の項目からお読みください〕

曹操が中国共産党の神となった理由

まず第一に大勢の儒家を殺して道徳を消滅させようとした“実績”ゆえに、中国共産党は曹操を崇めています。

※世界中の道徳を殺して人類から心を消滅させる:これはマルクス~スターリン~毛沢東ら、唯物主義者・共産主義者たちの絶対方針です

また、いずれ帝位を簒奪して天下統一することを目指した人物ということで、曹操は中華の政権を奪取した毛沢東たち共産党指導者を投影できる“共産党の神”なのです。

もちろん無辜の民に対する大虐殺(ジェノサイド)や、周りの人々を気軽に粛清し続けたことなど曹操の残虐な行いも、共産主義の価値観においては「正義」であり「善行」であり「英雄的行い」だとされているため称賛するしかありません。レーニンもスターリンも毛沢東も同じことをしたのですから。

虐殺や拷問、レイプなどの蛮行が「正義」と呼ばれ称えられるのが、共産主義の善悪反転した世界です。そのような人類とは真逆の価値観において曹操は理想的な英雄ということになります。

中華の民は納得しなかった(洗脳を受け入れたウマシカは日本人だけ)

中国共産党は長年このような価値観に基づいて、「曹操は正義の英雄である」というプロパガンダを宣伝してきました。冒頭で紹介したドラマもそのプロパガンダ政策の一つ。

ところが中国大陸の一般庶民はこんな嘘八百を信じようとしませんでした。

長い歴史で培った知識に基づき、曹操が正義ではないことを知っていたからです。また中華庶民は自分の中の仁義が強いせいでもあるでしょう。

なかなかプロパガンダがうまくいかないことで業を煮やした中共は、まず日本人から洗脳してコンテンツを逆輸入しようとしたようです。

その日本におけるプロパガンダが『蒼天航路』や、酒見賢一ら小説家による捏造作品の数々。ネットでの書き込み工作。孔子学院の御用学者らを使った捏造歴史書籍の発刊。…等々

【参考】2000年代、三国志ジャンルでは頭のおかしい曹操ファン(暴力左翼活動家たち)による歴史捏造と、蜀ファンに対する暴力書き込みで溢れていた。歴史マニアさんの体験談

三国志ジャンルの偏った布教活動について(ジャンル内体験者談)

また、去年にも日本人をターゲットとして曹操を英雄崇拝するためのプロパガンダ歴史展が行われています。

三国志展のガイダンス映写から読む、中国共産党の思惑

このようなプロパガンダが功を奏したのか?

日本人で三国志ファンの多くは捏造された歴史を鵜呑みにして、「曹操様は素晴らしい正義の英雄なのだ!」と信じてしまったようです。

自分で史実を調べない、コミックのフィクションまでも「事実」と思い込み鵜呑みにする、歴史学者などの肩書ある人の話を何も考えず信じ込む……。

メディアから提供された情報を口を開けて呑み込むだけ。このような愚かな妄信は世界から見ても非常に恥ずかしいので、どうかもう少し自分で考える癖を持っていただきたいです。

せめて虐殺(ジェノサイド)を文化と呼んだり※、粛清を美化することはやめましょう。共産党の殺戮マシーンとして使い捨てされたくないのなら。

※左翼であるバイデン米国大統領は中国共産党の虐殺を「文化」と呼び、許容しました。共産主義者らしい価値観だと言えます。

 

なぜ、中共は司馬懿を英雄にしたがっているのか

前項で書いた通り、中共は大陸の国民に対して「曹操は正義のヒーローである」と信じさせることに失敗しました。

日本の掲示板などで曹操を称賛している中国人の書き込みは、五毛党か共産党員によるものでしょう。

現地では今も蜀の人気が圧倒で、曹操は悪人として憎まれ怖がられているそうです。中華言語の掲示板でも
「日本人はいったい何故あの悪人・曹操を褒め称えるのか?」
という疑問、
「嘘を教えられて信じている。バカじゃねーの日本人」
と嘲笑する書き込みが目立ちます。

推測するに、曹操を主人公にした冒頭ドラマにもクレームが殺到したと思われます。

それで中国共産党は曹操を英雄に仕立てることを諦めたわけではないでしょうが、国内では司馬懿を称賛する方針に転換したようです。

(使い勝手が悪いなら方針転換する。これが共産国のやり方です。共産党リーダー以外、偶像は何でも良いので使い勝手が悪ければ捨てて他の人形に替えるだけ)

司馬懿は統一のシンボル

日本で「司馬仲達」と呼ばれることの多い司馬懿は、曹操とその子・曹丕のもとで活躍した軍師でした。

軍師としては優秀でしたが、彼の孫である司馬炎が魏から帝位を簒奪したために、あまり良いイメージで語られることはありませんでした。

そもそも司馬懿が仕えた曹丕も漢室から帝位を簒奪しています。それゆえ、司馬懿自身には非がなくても簒奪の主のように語られてしまうのは仕方ないでしょう。

そんな司馬懿を中国共産党が称えるのは、三国時代のなかで「統一のシンボル」となり得る唯一の人物だから。後に晋を建国して“天下統一”を果たした司馬炎の祖父、司馬懿は、現代の中国共産党が掲げる台湾併合すなわち「統一」を担うシンボルとして相応しいわけです。

このようにあっさり曹操を捨てて司馬懿を偶像化したところを見ると、今の中共が道徳弾圧よりも「統一」政策に重きを置いていることが分かりますね。

 

日本人はまたこのような最悪のプロパガンダを鵜呑みにしないように願います。いつまでも無知でウマシカなままでいると、台湾併合どころか日本侵略にまで「バンザイ!」と叫び、狂喜の涎を垂らしながら中国共産党に平伏すことになるでしょう。