「聞く力」の強過ぎるリーダーがブレブレ過ぎて有害な件

諸葛亮について悪口を書き込んでいる集団の間では昨今、「孔明は人の意見を聞かない!」(※1)と大声で叫ぶことが流行っているようです。

どうやら「鞠躬尽力の安ちゃん」(※2)と呼ばれ中国一般民の人気を獲得した、安倍晋三さんのイメージを孔明に重ねて誹謗中傷しているらしい(※3)。安倍さんは左翼の話を聴かない首相として有名でしたからね。

しかし、「人の意見を聞く」タイプのリーダーが国民にとって最善の政策を選択するとは限りません。

そんな実例を思いがけず昨今の日本政治で見たという話です。

 

※1 北伐は諸葛亮が周囲の反対を押し切り、一人きりで暴走したのだというフィクション的イメージだけで「孔明は人の意見を聞かない」と思い込む恥ずかしい説。まあ、変人タイプの孔明に「人の意見を聞かない」イメージがあるのは否めませんが、フィクション由来の偏見を史実と言い張り浅学を晒すのは本当に恥ずかしいことだと思います。さすが平気で嘘をつくあの界隈の者たち、無知を晒すのも平気であるらしい。

※2 安倍晋三元首相は、潰瘍性大腸炎という難病に耐えながら国民のために尽くした首相だということで、中国庶民から「鞠躬尽力の安ちゃん:まるで病弱なのに自分を犠牲にして国民に尽くした諸葛亮のようだ」(…苦笑)と呼ばれて人気を博しました。もちろんその人気は首相在任中、安ちゃんが中国政府へ尻尾を振ったから得られたものでもあります。首相をやめてからは何故か彼は強気で、台湾に近付き中国へ喧嘩を売っているため、今後は中国での人気も無かったことにされるでしょうが。

※3 お左翼の方々は諸葛亮を「日本人」に見立てて憎んでおり、日本の現リーダーと重ねて悪口を言う隠喩を好みます。詳しくは下記事参照。

なぜ孔明は貶められているのか?【回答】諸葛亮が“日本人に転生”したから

 

他人の言うなりで、バラマキという悪手に出た首相

政治家の一挙手一投足にネットで批判を浴びせるのは大変みっともないことだと私は思っているので、岸田政権の誕生後しばらく静観していました。政治家の評価は全体の政策で降すべきもの、政権スタート直後には良いも悪いも見えないので「ガーガー」叫ぶべきではないでしょう。

しかし、岸田首相の政策には当初から一国民として不安を感じていたというのが本音です。

確かにあの時点(総裁選)では、候補者のなかで岸田氏しか選択肢がなかったと言えます。河野太郎氏は中国企業と私的に関係が深過ぎるし、保守の女神と崇められている高市早苗さんも移民政策&パソナとの危うい関係がある。左翼フェミ傾向が強くなってきた野田聖子さんは論外。…結果、バランス主義で政治家らしい折衷案を得意とする岸田氏は安牌と思われたのでは。私が党員でも、消去法であの中なら岸田氏を選ぶしかないと考えたと思います。

ところが蓋を開けてみれば岸田氏は予想以上に露骨な親中路線(もちろん親中派閥の長であることは知っていましたがここまで露骨で安易とは)。米中そして日本が戦争の危機に直面しているこの重大局面において、あろうことか親中と言うよりほぼ中国共産党員のような人物を外交の要に置いてしまう暴挙に出た。北京五輪も同盟国と歩調を合わせるべき外交ボイコットさえ明言できない。

何より唖然としたのは、公明党の言うなりでバラマキ政策を発表したことでしたね。

“自民党がお世話になっている”からといって公明党の顔色ばかり窺い、「バラマキ」政策を選択。尻尾振りのバラマキがどれほど国家を弱らせる悪手なのかご存知だろうに。

これは、バランス主義と言うよりはただ無考えに「人の意見を聞く」タイプなのだな… すなわち人の意見に左右されるタイプの首相なのだ、と少し早いけど評価せざるを得ません。

バランス主義と「人の言うなりになる」は違う

バランス主義と「人の話を聞く(言うなりになる)」は似ているように見えますが、大きく異なると私は考えます。

最近は何故かバランス主義を「多くの人の意見を聞いて折衷案を取ること」という意味で使う人が多いのですが、それは誤った言葉の使い方。本来のバランス主義とは、様々な選択肢のなかから偏りのない最善を選択(自分の思考で)する、という意味になるでしょう。つまり他者の意見は決断の前に参考にすることはあっても、必ずしも従わなくて良いということになります。むしろバランスを欠いて目的を阻害する意見は除外して考えるほうが、結果として「バランス主義」となるはずです。

多くの選択肢を並べて考えた後、国家が傾いて転覆しない中央値の細い細い街道を選ぶ。その際、決断する主体はあくまでも自分です。国家運営を託されたリーダーならなおさら、自分自身の頭で考え決めるべきでしょう。国民から運営を託されたのはその人なのだから。

いっぽうで「人の話を聞く」ことを自慢げに公言する人のなかには、自分で思考することなく他者の意見に依存するタイプがいます。一見、心が広く柔軟で立派なリーダーに見えるのですが、実はただの責任放棄です。自分が決断したことで損害が出たときに責任を負いたくないので、「皆の意見に従っただけ」という保険をかけておくのです。もちろん社会的にそんな言い訳は許されませんが、許される気がして他者の意見に流されてしまうのでしょうね。このような人は意見が対立して困った場面では、無考えに折衷案を取ります。たとえ目的に照らし合わせてバランスを欠いていたとしてもです。

残念ながら岸田首相は後者のタイプだったかな、と思います。

余談、劉備について

ちなみに記録上で「人の話をよく聞いた」と言われており、そのために“耳が大きい”と喩えられる劉備も、自分の意見がない人ではありませんでした。MBTIの記事でも少し触れた通り、史実の彼は本心の信念がブレない少年ジャンプ的リーダーです。もちろん戦場慣れしていたため退避の判断が速い特徴はあったもの、生涯変わることのなかった劉備の信念はまるで北極星のごとし。私は中華史において彼ほどブレない人はいなかったと思っています。

ブレブレな岸田政権は反面教師としたほうが良い

岸田政権は、スタートからいきなり「僕たち公明党さんに従ってバラマキします!」と宣言し国民を唖然とさせました。

国家弱体化政策である悪手のバラマキで人気取りを狙うとは、なんて愚かな……と呆れながらも、おそらく公明党の票がなければ自民党は与党でいられないのだろうという事情を考え批判を呑み込んだ有権者たち。

しかしその有権者の眼の前で、今度は野党の言うなりとなって二転三転と政策転換する滑稽な首相の姿が披露されることになりましたね。

 

〔経緯を簡単に振り返る〕

公明党バラマキ要求→

そのまま取り入れたら自民党員に批判されそうだから「子育て家庭のみ・収入制限・クーポン」で折衷案をとってみた→

クーポンは印刷代など経費がかかる愚策だ!現金ばらまけ!!と野党から大批判の一斉攻撃を受ける→

岸田首相「人の話を聞く」ポリシーを発揮して次々方針転換、「クーポンやめます…収入制限やめます…」

 

呆れて笑ってしまいました(笑っている場合ではないのですが)。

思考が柔軟なことは悪いことではありません。もし自分が本当に間違っていたと考えたのなら方針転換すべきです。自分で考えたのなら

岸田氏はおそらく、バラマキ政策が国家国民にとって本当に合理的で最善な策なのか? そう思うのなら何を目的としてバラまくのか? ということをご自身の頭で考えていなかったのではと思います。

ただ「公明党が要求したから従っただけ」「自民党内で批判が多く出ているから折衷案をとっただけ」「野党がうるさいから方針転換」……と、実に幼稚な理由で決めていったものと思われる。

ここまでブレブレな国家運営者は前代未聞でしょう。

岸田政権からは反面教師として学べることが多いはず。この実例だけでも「聞き過ぎる」ことは有害でしかないと分かるのではないでしょうか。

国のトップがこのようにブレブレであっては最短で滅亡必至です。仮に、今が戦時だとすれば前線は全滅しているでしょう。日本では“臨機応変”ばかりがもてはやされていますが、臨機応変が称賛されるのは現場での振る舞いに限定されます。中央トップは方針を定めたらよほどの理由がない限り安易に変えてはならない、そんなことは当たり前。大本営のように朝令暮改では現場が混乱しますよ。混乱は戦時において最大のダメージとなります。戦場で現場に混乱を与えたら則、死へ追いやることになります。

「今が戦時だとすれば」と書きましたが、コロナ禍で国家衰亡への道を下っている現状はすでに戦争と同じ。疲弊しきった現場は今回の混乱でさらにダメージを受けていることと思われます。あまりに気の毒です。

何より本当に困窮している人たちを救わずに、見当はずれのバラマキで与党も野党も茶番を繰り広げていることに憤りを覚えます。

また餓死者と自殺者が増える。ワクチンでの死亡者・重篤者も救われない。

いったい人の命を、国民の人生を何だと思っているのか。

 

「人の話を聞く」と言いながら…民の意見はどこへ?

「聞く力」は一見、民主主義に適ったポリシーのように思えます。

しかしここのところの政治家たちの行いを眺めていると“民”の意見など全く気にも留めていないことが分かるのではないでしょうか。

そもそも我々国民が望むのはバラマキではなく適切な救済ですね。と言うことは岸田氏が柔軟に方針転換してやめるべきなのは、バラマキそのものでした。

そんなことすら見えないのは国民のことを考えていない証拠。与党も野党も政治家同士で顔色を窺い潰し合っているだけです。国民の声は無視されている。これのどこが民主主義でしょうか?

岸田氏は今すぐ日本を沈める目的で政治活動している者たち(左翼党)の意見をシャットアウトすべきです。目的が正反対の、バランスを欠く者たちの意見には「聞かない力」こそ有力ですよ。

 

参考になりそうな話。ブレない「思考の軸」を持つ

自分で考えるとはどういうことか? ブレないとはどういうことか? 下記事でリンクした「思考の軸」の話が参考になると思います。

「原理原則を持つ」ということ。その原則に反する意見の言うなりになってはダメ。表面の政策を柔軟に変えるのは構わないが根幹の、信念そのものを変えてはいけないということです。

「オタクは軍師になりたがる」で一考。“軍師”向きの資質とは?